J-POPのほとんどに入っている泣きの音(コード)について出来るだけ優しく解説

前回書いた気持ちいいコードの話で少し楽しくなっちゃったので書きます。

コード理論を書き連ねるわけではなく、出来るだけ優しく楽しく紹介します。

J-POPには泣き要素を出す上で大活躍している役者がいます。

それが、“Ⅲ”“Ⅲ7”のコード、そしてこのコードの内声であるⅢの長3度の音、曲のキー内で言うと短6度の音です。

分かりやすく言うと「C長調→ドレミファソラシド」の中に入るソ#の音です。
言い方を変えれば「外れた音」です。

外れているのに何故感動する音に?
例えるなら腐敗発酵でしょうか。
腐敗も発酵も同じように微生物に分解されますが、人体に対して有益であれば発酵、それ以外は腐敗と言われます。(なんか逆に分かりづらいような)

これがどのように入っているのでしょうか。

いくつかあげてみますが、まずこの曲。

時をかける少女の曲でお馴染みの奥華子/ガーネット。好きです。
このバージョンはピアノとボーカルだけのシンプル構成で、曲自体もJ-POP的なアプローチが多く入っています。

サビに入る時に転調して、それがまた良いんですがこれはまた別のおはなしで。

サビの「この胸に焼きつけよう」「き」のところで鳴るピアノの音がⅢ7のコードです。

緊張感のコードがぶつかるここが泣きポイントです。

このⅢ7コードの直後からも似た音を使ったコード進行になりますのでちょっと分かりづらいかもしれません。
aikoや奥華子などピアノがメインフィールドの方はギターでは難しいコードアプローチを良くします。
ギターでは作曲の際もコード単位で考える人が多いからだと思いますが、シンプルなコードが多いです。
ピアノだとベースなども音単位で動かしやすいので、より複雑で雰囲気の濃いコードの曲が多いと思います。

他にも挙げてみます。

米津玄師/アイネクライネ

これも随所に役者が入っていますが、サビを聞いてみましょう。

お願いいつまでもーのところからサビで、コードは

Ⅵm7-Ⅱm7-Ⅳadd9-Ⅴ-Ⅰが続きます。
このコード達は同じ調の中の音で構成されています。
そしてコードが変わるのがメロディの変わる場所、サビの締めに向かって変わる部分です。

「奇跡であふれて足りないや」の「せ」のあたりからコードがⅢ7です。

きせ(Ⅲ7)ーきーでーあー(Ⅵm7)ふれてー足(Ⅳadd9)ーりな(Ⅴ)ーいや(Ⅰ)

なんか雰囲気が違って、緊張感があるような感じがしませんか?

今度はメロディーも変わる曲

上記の曲はメロディが調から外れる事が無いので分かりにくい人もいるかもしれません。

この泣きのコードが鳴っている時に、同時にメロディー泣きの音をなぞっている場合もあります。

メロディも同時ならすぐ分かると思います。

それがまずこの曲、aikoーカブトムシ
https://www.youtube.com/watch?v=WMPO5qgm39E

aikoさんの楽曲にはaiko節とも言えるような、とても独特なコードやメロディの使い方が多いです。
多分、弾き語りを始めた初心者には優しくないですね。

この曲には随所にスケールアウトの音(調から外れた音)が入りますが、サビを聞いてみましょう。

どこか違和感を感じましたか?

メロディーがコードと共に動いているのがこの赤の部分。

分かりやすくCに移調してメロディーを書いてみます。

すこしせ の た か い あ み み によせたおでこ
ミミミミファミファソ ソ ソ# ソ# ソ# ソ# ソ# ミレミレドシド

コードⅢ7の中の例の音(ドレミファソラシドでいうソ#)がメロディーになっています。

別例をあげましょう。

flumpoolー君に届け

サビの「本当に“良”かったと」の部分。
その後も同じメロディーが続きます。

泣きはどこだクイズ

Q.1エレファントカシマシー俺たちの明日

曲の頭にサビが来ますが、このサビで泣きのコード&メロディが使われているポイントはどこでしょう?

正解は

さあがんばろ(Ⅰ)うぜ オマエは 今(Ⅲ7)日もこかで 不器用(Ⅳ)にこの日々ときっと(Ⅳm)戦って(Ⅴ7)いる事だろう

赤の部分でキーの主音の短6度に当たる音が鳴っています。(※曲のキーはEなので実際鳴っているのはド)

きっとの部分でからⅣmに変わります。音で言うと明るい感を決定付ける3度の部分が半音下がり暗い音になることによって、暗いけれど希望のあるような感じに聞こえます。

このⅣ-Ⅳmという動きにはJ-POPにも多くみられます。

海外ロックですがこのコードが使われている有名曲がRedioheadーCreep

Ⅰ-Ⅲ-ⅣーⅣmを延々ループしています。

以上で記事は終わりです。

自分だったらこういうの面白いと思うんですが、どうでしょうか。
発作的に書きたくなる時が来たら次はもっと面白く書いてみます。

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